小麦粉惑星

誰かいつもマーガリン潰してる。

僕たちはもう一度『あねどきっ』を読まなくてはならない。

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自室の本棚に目をやると『あねどきっ』がある。

『いちご100%』『初恋限定。』でお馴染みの河下水希週刊少年ジャンプで連載していたラブコメ漫画作品だ。久々に読み返してみると、まあ面白い。

僕は『いちご100%』に負けない隠れた名作だと思っている。

この自粛期間中に、僕たちはもう一度『あねどきっ』を読まなくてはいけないとまで思うのだ。

 

  1.  どんな漫画なのか
  2. 薦める理由は何なんだ       
  3. 恋愛描くのが巧すぎる                   

 

 

1.どんな漫画なのか

中学1年生の洸太(主人公)が、ある夏の暑い日、ちょっとHな女子高生萩原なつきと出会ったことから生活が激変。何故かひとつ屋根の下で暮らすことになり...。という導入のラブコメディ。作品序盤は洸太の片思い相手の奏を巻き込んでのドタバタ劇を中心に展開していく。全3巻。

 

これだと、いつの時代のジャンプにも掲載されているちょっとお色気シーンが多いラブコメ漫画という印象を受ける。確かにその側面は否めない。毎回ソフトなお色気描写が6割を占め、不自然なくらいドキドキするシーンが散りばめられている。僕は小学生の頃にジャンプ本誌を購読していなかった為、体験していないが、『あねどきっ』を読んでいる友達は、読んでいることを言いふらされ、晒し物になっていたような記憶がある。小中学生の頃って、ジャンプ連載のラブコメを読んでいるとダメみたいな謎ルールありましたよね。マジで何なんだ。

ToLOVEる‐とらぶる‐』の話も当然のようにアウトでしたよね。まあ、古手川唯好きな小5とかが、わらわら湧いてきたらヤバすぎるからな(絶対大オタクになる)

 

話を戻すと『あねどきっ』はただのラブコメ作品ではないというのが、僕の持論だ。

 

2.薦める理由は何なんだ

 

重要な場面は絶対に茶化さない

これに尽きる。展開が早く、合間にお色気を挟んだこの作品は一見目まぐるしく思う。その一方で、思春期に入ったばかりの中1男子である主人公が恋愛や青春の出来事を通じて成長していくという軸は一貫してブレない。恋愛や青春という未知に主人公はどう向き合っていくのだろうか。ここでヒロインである「萩原なつき」がカギとなっていくのだ。

萩原なつきという存在は、年の離れた魅力的なお姉さんであると同時に、主人公洸太にヒントを与える家庭教師のような役割でもある。彼女がくれたヒントを活かして、洸太は考え、自分なりの答えを導き出す。これを茶化したり、ギャグにしたりすることは絶対にない。

猛スピードで過ぎてゆく思春期だが、ひとつひとつの成長は繊細で美しいものだ。それをないがしろにせず、それまでの展開に流されることなく丁寧に描く。最高の成長物語の色が濃い作品だと思う。

そして洸太の一生懸命さや勇気に幾度となく、なつきは心を打たれる。この心を打たれる描写に注目して読んでほしい。なつきは完全な家庭教師になりえない事がわかるだろう。洸太から見たなつきは十分大人だが、一般的に見れば、なつきはまだ子どもである。成熟している部分もあれば、まだ未熟な部分も多く残している。あくまで「大人びた子ども」にしかすぎない。

なつきも洸太と同じく「大人になるってなんだろう?」という問いに答え切れていない子どもなのである。

 

3.恋愛を描くのが巧すぎる

河下先生は恋愛を描くのが巧すぎる。『いちご100%』でも、『りりむキッス』でもわかっていたのに食らってしまった。きっちり重いストレートをど真ん中に打ち込むスタイルが素敵だ。

そして空間の使い方が凄い。詳しくは語らないが物理的分断で心のすれ違いを表現するのが巧すぎる。永遠に交わらない線になってしまったのではという切なさ、取り返しのつかなさの最高峰ではないか。これ少年漫画か?という緻密さ。

 

 

 

こんな感じで不朽の名作『あねどきっ』は最高なのでみんな読んでくれ。いや読まなくてはいけない。青春があふれ出してくる。

 

おしまい。

 

 

 

 

 

 

 

 

お題「#おうち時間