パヒューム
以前勤めていたアルバイト先では、朝のシフトに入ることが多かった。
朝のシフトは主婦さんの割合が非常に高く、主婦さん2,3人、俺1人みたいな日がよくあった。
その日は台風か大雨で、お客さんが全然来ない日だった。
仕込みを手伝いながら、少し談笑していると、1人の主婦さんが
「昔はそんなことなかったんだけどねー。最近、カタカナに弱くなっちゃって〜」
と話題をふってきた。
他の主婦さんからも
「なんか分かるわ〜」「そうよね」
みたいな同意の声が上がった。
「○○くんは若いからそういうのないよね?」
「いや、俺にもそういうのありますよ!」
俺にも経験がある方向に舵を切った。年齢による衰えみたいな話の展開にするのは暗すぎると感じたからだ。
「perfumeをカタカナで書くとき、一瞬わかんなくなっちゃったりします!」
「まぎらわしいとそうなるよねー」
「確かに(笑)」
これはエピソードとして、なかなか丁度いいチョイスだったんじゃないか?重くならないし!
やったぞ!と思っていると、
主婦さんたちがメモに何やら書き始めた。
そして、
「これだっけ?」
「変じゃない?」
「なんかしっくりこない」
俺にメモを見せてきた。
パヒューム
パヒューム
パヒューム
全部同じ、そして全部違う。
これは現実か、それとも悪い夢なのか。