小麦粉惑星

誰かいつもマーガリン潰してる。

エモいがわからん。

 ここ1年間くらいよく見たし、耳にした「エモい」が、結局のところよくわからなかった。何が言いたいのかは分かるのだけど、自分もそれを真似して、応用できるような言葉ではなかった。こういうのを書くと「流行りの言葉がお嫌いなのですか?」みたいなのを言われてしまうのだが、それは全然誤解。身の丈に合わない言葉は使うのが億劫になってしまうのと、そうして段々、受信専用の言葉になってしまっただけだ。使われる分には問題なく受信できる。相手の伝えたいことを汲み取ることもできる。

「 エモい」は強い言葉だなと思う。たった3文字で色んな感情を同時にアウトプットできるから。意味は違うけど同じ理由で「尊い」も強い言葉だと思う。存在感があって、しかも便利だし。

 でも、出来立ての言葉だから、これといった定義が無い。相手に汲み取らせることで初めて本当の意味が伝わるわけで、汲み取ってもらえなかったらただのスタンプと一緒じゃないかな、危うさの潜む言葉だなと思う。「エモい」と言い出した第一人者はオリジナルの定義を持ち続けて使用してるんだと思うけれど、その後に沢山出てきたコピーはどうなんだろうか。うーん。「をかし」と同じじゃんと言う人がいるけど、あれは長い間、日本人に使われた言葉だから段違い。権威主義みたいになってしまうけど歴史があることはやっぱり価値があると思うし、言葉に関しては説得力が違う。今使われてる形容詞もずっと昔から日本にあるものが多いじゃないか。意味のブレが時代ごとにあったとしてもずっと形が残ることってすごいと思う。

もしかしたら「エモい」が千年後残ってるかもしれないし、そしたら新しい「をかし」になりうるって話だとは思うが。

流行った理由を電車の中で考えているのだけど、今が短文の時代だからかなという考えに至った。日常会話は短い文章のキャッチボールだし、SNSもそうだ、Twitterには相変わらず文字数制限があるし、Instagramの投稿は長すぎると読んでもらえない。それでも自分から他者に思考を伝えたいって気持ちはあって、理解してもらいたい欲望はずっとある。だから「エモい」を使うのかな。他人が汲み取らなきゃわからない言葉だから、あなたが言ったエモいの理由を考える時間はあなたの為だけに使われている時間だから。