小麦粉惑星

誰かいつもマーガリン潰してる。

『マクガフィン』 男たちのmasterpiece

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11月の終わりに、凄まじい曲が出た。

岡村靖幸とRHYMESTAR、カッコいいおじさんのコラボレーション、ハンバーグカレーくらいのインパクトがある。岡村靖幸の立ち方カッコ良すぎないか??圧倒される。お爺ちゃんになっても、ヤベェ立ち方して欲しいね。

このブログを読む前にみんな一回聴いて欲しい。Apple MusicでもSpotifyでもなんでもいい、後悔しないと思うから試聴なしで1曲買ってしまってもいいだろう、とりあえず聞きたい人はYouTubeに上がっている公式のMVを再生してほしい。

 

https://youtu.be/PD6V5-r9qmc

 

最高に男臭い。最高。トラックの音の多さ、細やかさ。そしてこれを物ともしないRHYMESTARのラップパート、ごちゃごちゃしているはずなのに完成している。これが男の夢なのだ。男の子は超合金合体ロボットのオモチャで飽きることなく遊び、大人になるとゴツゴツしたブランド時計に心を奪われるようになる。これなんだ、『マクガフィン』に夢中になる理由は。曲の何処を切り出してもわくわくが溢れ出す。1曲を通して無駄な部分が無い。(女の子はどう思うかわからない)

作り込まれたトラック、針の穴を通すような超精密ラップ、そして断続的に現れる刹那の空白は堪らなくセクシーでペーソス、いつのまにか自分の脈拍との境目がわからなってしまうような高揚感を生む。

 

歌詞にも、心が躍る仕掛けがいっぱいだ。

まず、マクガフィンというのは

マクガフィン (MacGuffin, McGuffin) とは、小説や映画などのフィクション作品におけるプロット・デバイス(英語版)の一つであり、登場人物への動機付けや話を進めるために用いられる。特にスリラー映画で多用され、泥棒が狙う宝石やスパイが狙う重要書類などがマクガフィンの典型例である。しかし物に限定されず、出来事や人物などもマクガフィンに含まれる。

マクガフィン」『フリー百科事典ウィキペディア日本版』最終更新2019年5月10日 マクガフィン - Wikipedia

ウィキペディアによると、このようなものだった。大変わかりやすいね。

男たちの胸が躍るような、どきどきとした気持ちが溢れてくる言葉だ。この気持ちは大変美しく、そして儚い。

男は、男として如何あるべきかということを訳の分からないくらい考える(と思っている)

男にはタフネスがある前提で世の中はまわっている。本当はそんな前提なんて無い、皆んな勝手に思い込んでいるだけだ。強度がなければやっていけない。自信の根拠がたとえ虚栄であっても、それに縋りつかねば駄目だ。そうじゃなけりゃ殴られても立ち上がれない。男は見栄や自分だけの美学みたいなくだらないものばかりにずっと縛られて生きている。いや、生かされている。そういったもの無しに男は、男の形を保てない。誰しもが己だけの美学を持つ気高いダイヤモンドであろうとする、そう思う。

このダイヤモンドを叩き砕くのが、マクガフィンなのである。マクガフィン、リスクを負う以上の価値がある対象を目前にすれば、男というものは確実に揺れる。美学と欲望の間で揺れる、たやすく絶体絶命に追い詰められてしまう。そして結局マクガフィンを獲得することを選んでしまうのだ。僅かな勝率であっても、全部を賭ける価値がある。これは男として生まれてしまったさだめ、本能の解放だ。

 掠っただけで致命傷、当たれば即死、そんなギリギリの挑戦。修羅場を生きる、サスペンスを逃れ逃れ、数多の罠を紙一重で躱す。歌詞とともに次々とスパイ映画のシーンが映し出される。これがたまらない。ヒリヒリする。

この曲におけるマクガフィンは「想いを寄せる女性」である。男が美学を汚してまで欲しいものは女、採算なんか度外視で求めたいものなんて女で、愛でしかない。

タフなはずの男が、己の美学をそれぞれ持っている男が、一度愛を求めようとすれば一瞬で窮地に陥る。欲望と美学の間で底知れない葛藤をする。それは何よりもセクシーな姿である。

男というダイヤモンドが汚れて、砕け落ちる、この瞬きが素晴らしい。

 

何度も何度も頭が熱くなる、そんな一曲ではないだろうか。